墨田区・曳舟の家
【建物性能】
①延床面積107.5㎡(32.5坪)・1階:69㎡(21坪)・2階:38.5㎡(11.5坪)
②断熱性能 Ua値:0.39・C値:0.60・省エネ等級:4
③耐震等級:2
④準防火地域(新たな防火規制区域):もえしろ設計
④長期優良認定住宅
UA値:外皮平均熱貫流率
C値:相当すき間面積
※UA値の詳しい説明は「成増のいえ 内部断熱」・C値の詳しい説明は「成増のいえ 気密施工」をご覧ください。
猫と暮らす終の棲家
スカイツリーの見える墨田区曳舟の一角にある敷地にこの地で長く暮らす住まい手さんの猫と暮らす終の棲家を設計した。
以前の住まいでは猫ちゃんが「窓から道路を行き来する人を眺める」のが日課といことで、設計段階から猫ちゃんのた高窓を設けた。
玄関から続く廊下部分を広くし車いすでも通れる間取りとした。
【仕上げ】屋根:ガルバリウム鋼板 外壁:そとん壁・ガルバリウムスパンドレル(ZIG)
準防火地域よりも少し規制の厳しい「新たな防火規制区域」のため外壁は左官と金属で覆い燃えにくい仕様になっている。
敷地の北面が駅へと向かう主要な道路に接しているため、駐車場を家屋の北側に設けて道路からの視線を遮れるようにした。
北面の窓には木格子を設けて視線を遮ると共にのっぺりしがちな左官の壁に表情をつけた。
【仕上げ】床:杉厚板 天井:杉板
車いすの使用も考慮した広めの廊下。正面に見える格子の引戸は玄関の土間からくる冷気を室内に入れない効果がある。
格子戸にしたことで光を通しやすく玄関周りが暗くなるのを防いでくれる。
【仕上げ】内壁:珪藻土(MPパウダー) 天井:杉板
玄関から入って突き当りの廊下。正面の棚の扉は漆を塗ったシナ合板の木製建具。
天井と壁には僅かに隙間が空いています。これは「目透かし」と言われる仕上げ方で天井をスッキリ見せる工夫が施されている。
【仕上げ】内壁:珪藻土(MPパウダー) 床:杉厚板 天井:杉板
奥の寝室の左側にある引戸からウォークインクローゼットに行くことができ、普段あまり使わない衣類や季節のものを閉まって置けるようになっている。
手前の右側はトイレになっていて寝室からトイレまでの距離が近くなるように設計した。
住まい手さんの使い勝手に合わせた造作のキッチン。
料理の得意な住まい手さんのためにカウンターの背面には作業台があり、調理と盛り付けを同時にできたりと余裕のある空間にした。
床には点検口としての役割もある床下収納を設けることでスペースの無駄を省いた。
テーブル:くりのきテーブル イス:はじまりのイス
ほとんど全ての収納が「住まい手さんの使い勝手や住まい方に合わせた」造作家具になっているため、収納量を確保しつつも視線が通りやすく広々と感じられる設計になっている。
テーブル:あゆみテーブル イス:はじまりのイス
丸テーブルを置くことでスッキリとした印象にもなる。
天井の梁は「もえしろ設計」のため通常の梁よりも太いが、吸音のため断熱材を1階の天井裏に敷いているので、天井の仕上げが梁の半分程度の位置まで下がりスッキリとした仕上がりになっている。
【仕上げ】サッシ:プロファイルウインドウ(左側掃き出し窓)・APW330防火
周辺の環境を含めて日照シミレーションをしたところ、南側からの日差しが限られた時間に僅かしか入らなかったため、リビングの南側には掃き出しの木製サッシを配置し、その上にFIXのサッシを付けることで少しでも多くの日差しが入るように設計した。
階段は鉄骨を使用し蹴込板を付けないことで開放的になり階段下が少しでも明るくなるように設計した。
【仕上げ】内壁:珪藻土(MPパウダー) 天井:杉Jパネル
暮らしの中心であるリビングには薪ストーブに比べて煙がほとんどなく都市部でも使いやすいペレットストーブを設置。
エアコンとは違った火を感じられる暖かさを取り入れた。
【仕上げ】内壁:桧板 床:杉厚板 天井:桧板
洗面脱衣室の壁と天井には桧板を採用。
一部をタイルにすることでワンポイントのアクセントなるようにした。
2階の寝室には住まい手さんの要望を取り入れた壁一面の本段を設置。
通風シミレーションを行い、本棚の右側に開口部を設けることで、吹き抜けを通して繋がっている1階の南の窓から入った風が2階に流れるようになっている。
2階寝室の奥には大きな収納スペースを配置して収納量も確保。
大切なコンセプトの一つが「猫と共に暮らす家」でもある曳舟のいえ。造付のテレビ台から高窓に続く板を「キャットステップ」と命名。
猫ちゃんに日課である「窓から道路を行き来する人を眺める」を叶えた。
【仕上げ】内壁:杉板 床:杉厚板 天井:杉Jパネル
収納スペースも杉の板で囲うことで山小屋の秘密基地のように見えてくる。
曳舟のいえの設計から引渡・その後まで綴ったブログ「加子母っ子タイム」もご覧ください。