私たちが住む日本には、
国土の66%以上を占める森林があります。
森林には、木材やキノコなど林産物の生産の場になるほかに、渇水や洪水を緩和しながら水を育む水源涵養機能、土砂災害の防止、地球環境の保全、その他生き物の棲みかとなるなど、さまざまな機能があります。
私がまだ20代だった頃、御嶽山の岐阜県側に当たる亜高山帯の森林を調査のため歩き回ったことがあります。
標高1700メートル以上になると、アオモリトドマツ、シラベ、トウヒなどの針葉樹が繁り、黄色やこげ茶色をした細かい落ち葉が積もった地表を歩くと、ちょうどスポンジのように弾力があってとても心地よいのです。油断すると自然にできた落とし穴があって太ももの辺りまで落ち込みます。何度もそれに填まりました。百年以上もかかって蓄積した落葉層の下には、火山による岩石がゴロゴロしていて、その岩の間に填まるのです。
長い長い年月を重ねて出来上がった亜高山の森林は、若かった私を夢中にさせる多くの神秘に満ちた何かを感じさせました。その時の記憶は、50年以上も過ぎた今でも鮮明に蘇ってきます。
日本の森林は、今では1万haの人工林ができあがり、この貴重な資源を建築材料などに利用して、CO2の減少など地球環境の保全を図ること重要になってきました。
これまで長く森林に関わり、今は故郷の近くで再び森林に関係が深い会社に席を置き、森林と木材、そしてヒノキの木造住宅づくりについて考えるようになりました。
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