南砂のいえ 地盤改良工事
「南砂のいえ」はお施主様の祖母様が住まわれていた場所。
祖母様からお孫様へ受け継がれ新しい住まい造りを計画。
都市部で多く建てられているようになった準防火地域の木造3階建てでも断熱性能を確保。
新しい住まい方を提案する家が出来上がるまでをご覧ください。
竣工予定:2021年4月
延床面積:129.61㎡(39.20坪)
建物概要:長期優良住宅・木造3階建て
断熱性能:UA値 0.35W/㎡K
ηAC値 1.2
耐震性能:耐震等級3
法規制等:準防火地域・省令準耐火構造
施工管理:中島工務店 東京支店
南砂のいえの地盤改良工事が行われました。
地盤改良工事とは建物が建つ場所の地面に液状化などの可能性がある場合に行う工事です。
建物を建てる前の一番最初の工事になります。
地盤調査
建物を建てるときはその土地の地盤(建物の基礎を支える地面)の調査が必要です。
これは保証の問題もありますが、安全面にも大きく関係しています。
建物に係る力は柱・梁・基礎を通って最終的に地盤に伝わっていきます。
建物自体がいくら頑丈でも地盤が弱いと力に耐えきれず沈下したりします。
地盤は目視による評価がほとんどできず、近隣で同じ評価になるとは限らないため調査が必要になります。
調査の仕方は主に「①表面波探査」と「②スウェーデン式サウンディング試験」と「③ボーリング試験」の3種類あります。
①表面波探査法:体ではほとんど感じることのない振動を地盤に与え、その振動の波の速度を計測し解析を行います。
②スウェーデン式サウンディング試験:先端がスクリュー状になった棒を回転貫入させて頑丈な地層までの深さや地層の構成を測定します。
③ボーリング試験:頑丈な地層まで掘削機で穴をあけ、地面をくりぬいて調査します。深さの測定だけでなく地下水位や地質まで解析できます。
③ボーリング試験は多くの情報を得ることができますが、大掛かりになりコストも上がります。
戸建て住宅ではコストと敷地の大きさを考慮し、①表面波探査法か②スウェーデン式サウンディング試験で調査されることが多いです。
大規模な建物(マンションや公共施設など)の場合は③ボーリング調査が使用されることが多いです。
調査は1か所だけでなく複数個所行います。
住宅の場合、計画している建物の四隅と中心になる場所の計5か所を調査します。
今回、南砂のいえでは②スウェーデン式サウンディング試験で地盤を調査しました。
調査の結果、地盤があまり強くないため改良工事が必要と判断しました。
地盤改良工事
地盤改良には方法がいくつかあります。
大きく分けて「A.表層改良」・「B.柱状改良工法」・「C.鋼管杭工法」の3種類あります。
A.表層改良工法:建物基礎の下にある地面の表面全体を1~2m程度まで掘り、セメント系固化材を加えて均一にかき混ぜて締め固めます。
使用する機器も大掛かりでなく狭小地でも使用できます。頑丈な地盤が地面から2m以内にある場合に有効です。
B.柱状改良工法:表層改良工法で強度を出すのが難しい地盤の場合に使用します。建物を建てる敷地に規則正しくコンクリートの柱を何本も注入して地盤を固めます。
地震の際はコンクリート柱と地中の土の摩擦で地盤が一体化し揺れから家を守ります。
使用できない土質の地盤があり、作業も大掛かりになり易いため制限があります。
C.鋼管杭工法:柱状改良工法の柱をコンクリートから鋼管に置き換えた工法です。土質の制限が緩和し、作業も柱状改良工法ほど大掛かりになりません。
改良の方法はコストも関係しますが、地盤調査の結果を基にして建物の耐震性と計画地の性質に合わせて選ぶことが重要です。
鋼管杭工法
南砂のいえは鋼管杭工法を選択しました。
現場に鋼管杭が搬入されました。
先の広がっている部分が下になり、地面に埋まります。
杭の長さ・直径を測り、間違いがないか確認します。
杭をそのまま打ち込むのではなく、先に穴を掘っておきます。
地面に対して垂直に掘らないと杭が効かないため、慎重に調整します。
掘り終わったらいよいよ杭を打ち込みます。
先穴と同様に地面に対して垂直になるように調整しながら行います。
打ち終わったら所定の深さまで届いているかの確認をします。
杭の先端がこれから建てる建物の基礎に接することで力が伝わります。
高さがズレてしまうと意味がなくなってしまうのでしっかりと測定します。
無事に打ち込めました。
最後に杭に蓋をして完了です。
南砂のいえでは杭を33本打ち込みました。
土地によっては地盤改良が必要ない場合もあります。
東京の場合は江戸時代に海や川を埋め立てて造成した土地も多いため特に注意が必要です。
次回は基礎工事に入っていきます。
東京支店 小此木恒
東京支店の最新情報はこちらをご覧ください。