建て方に向けて
お施主様が住まいづくりを考え始めたのは2017年7月のこと。
当初は古くなた母家を建て替える予定でしたが、
敷地までの道路が狭く途中に鳥居があるなどして工事車両の通行が困難。
そのため所有する田んぼを埋め立てて新しい住まいを建てることを決意。
住まいづくりの想いは・・・
この地に生を受けたことをご先祖に感謝し子孫に価値ある財産を残すこと。
そんな想いを込めてここ城田寺での住まいづくりがスタートしました!
竣工予定:2020年8月末
延床面積:167.28㎡(50.60坪)
建物概要:長期優良住宅・木造2階建て
建物性能:耐震等級3・断熱等性能級4
設計監理:中島工務店設計室 小林尚長
建て方に向けて
Fシート貼り
2020年4月中旬
基礎工事が完了し、現場はいよいよ月末の建て方に向けて準備が進められます。
まずは足元から!基礎巾木部分はNSPの“Fシート”を貼ります。
不織布と高耐久性樹脂が一体化した化粧シートで、
基礎巾木の中性化を制御しコンクリートの耐久性を向上させます。
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Fシートには先貼り用と後貼り用がありますが、ここでは後貼りを採用。
基礎巾木の表面に貼り付けたFシートをローラーで丁寧に仕上げていきます。
綺麗に仕上がりました。
モルタル刷毛引きに見られる白華現象やヘアクラック等も起こりません。
外部配管
建物の外周は給排水の配管が埋設されますが、まずは配水管の設置です。
建て方前には仮設足場が設置されますので、その前に先行して埋設配管をします。
構造材加工
一方、加子母のプレカット工場では3月上旬にお施主様に確認いただいた構造材が、
3月下旬には既に加工されて現場搬入を今か今かと待ちわびていました。
土台、大引、柱、梁などなど、準備は万端です!
まずは先陣を切って土台と床合板が現場に搬入されました。
中島とつくる家の土台は東濃ひのき4寸角(120mm×120mm)が標準サイズです。
土台伏せ
2020年4月19日
大安吉日のこの日は日曜日ではありましたが土台伏せと柱建てを行いました。
早朝より土台伏せです。
まずは番付けごとに木配り(きくばり)をし、アンカーボルトの位置を土台に記していきます。
そして木配りをした土台を寄せ、記しを確認しながらボルト孔を空けていきます。
この黒い物体は基礎パッキンです。土台を裏返しにした状態です。
床下の換気部材ですが、玄関や浴室など通気を必要としない箇所は気密パッキンを設置します。
素材はポリオレフィン樹脂と炭酸カルシウムの合成素材でできており、
樹脂の持つしなやかさと石が持つ頑丈さを併せ持ち圧縮による縮みはありません。
基礎パッキンを設置した土台を基礎の上に伏せていきます。
ホールダウンやアンカーボルトを1本ずつ丁寧に通しながら伏せます。
土台はスクリューワッシャーで確実に締め付けていきます。
床合板を敷き込むために土台の天端を平滑にする必要があることからこちらを採用しています。
土台伏せが完了したら大引と鋼製束を配っていきます。
大引は床組みの骨となる部材で、こちらも東濃ひのきを使っています。
大引は3尺(910mm)間隔で伏せていき、サイズは3寸角(90mm×90mm)と頑丈です。
柱建て
翌週から始まる建て方に先立ち、大安吉日のこの日に“いの一番”の柱建てを行いました。
建物には「番付け」と言ってX通りとY通りに符号が付けられているのですが、
一般的に東から西へ“いろはに・・・”、北から南へ“1234”と番付けされており、
真四角の建物だと北東角が“いの一番”となるわけです。
物事を始める時の“いの一番”はココから由来しているのですね。
(建物の平面形状の関係でここでは“い”の“3”をそれとしました)
土台伏せと柱建ては完了し、翌日の雨天を睨んで材料の全てに雨養生をして作業を終了しました。
内部配管
内部に給湯給水配管はオンダ製作所の“邸別配管システム”を採用しています。
いわゆるヘッダー工法といい、給湯器やパイプシャフトなどの周辺にヘッダーを設け、
ヘッダーから各給水給湯栓まで直接配管する工法です。
ヘッダー部と給水給湯栓以外に接続箇所がないため、漏水の発生を抑えることができます。
防蟻処理
土台伏せと配管が完了すると防蟻処理です。防蟻材はエコパウダーの“エコボロンPRO”を採用。
主原料は「ホウ酸塩鉱物」で揮発、蒸発することがない上、腎臓を持つ哺乳類には無害で安全です。
専用の噴霧器で散布していきます。
エコボロンPROは引渡し2年後と5年後の定期点検を実施して10年の性能保証制度があります。
鋼製束の高さ調整をして固定した大引にもエコボロンPROを散布します。
床合板敷込み
中島とつくる家では、建て方に先立ち床合板を先行して施工します。
まずはその前に床断熱材の敷込みです。
床の断熱材は高性能グラスウール・アクリアUボードピンレス(24K) t=80mmです。
このように大引間にびっちり充填します。
そして床合板t=24を敷込みます。
柱を落とし込むところはプレカット工場であらかじめ欠き込んできます。
床合板の敷込みが完了すると養生シートを貼り付けて完了です。
作業が終了したころ、夕陽が反射する床面を見て精度の良さを実感しました。
こうして現場は建方の準備が着々と進んでいきました。
翌日には建て方で組み上げられる構造材が現場に搬入されました。
現場に搬入された構造材はすぐに養生していきます。
床合板を先行して施工することによって材料置場も作業床の安全性も確保できます。
建て方前日には仮設足場の設置も完了し、いよいよ建て方の準備は万端に整いました。
気象情報を確認すると、この先一週間のお天気は良さそうです。
最高の建て方日和になりそうです!
こうして「城田寺のいえ」はいよいよ建て方を迎えます。
次回は建て方から上棟式までをリポートしたいと思います。お楽しみに!
設計・監理 小林尚長