【ふるさとと繋がる家】土間の洗い出し仕上げ
名古屋市守山区。
ふるさと加子母からこの地に嫁いだ奥様。
奥様のご実家は加子母の製材屋さん。
桧や杉、様々な木材が製材される。
そして木材たちもここへ嫁いでくる。
こうしてまたふるさとと繋がる。
そんな住まいづくりが始まります。
竣工予定日:2016年2月末
延床面積:141.62㎡(42.84坪)
間取り:4LDK+8帖の吹抜け+畳コーナー+中庭のある家
設計者:中島工務店設計室 小林尚長
「ふるさとと繋がる家」は内部の仕上げ工事がほぼ完了しました。木製建具も建て込みが済み、住宅設備機器の器具付けも順調に進んでいます。一方、外部では土間の豆砂利洗い出し仕上げが完了し、いよいよ外構工事に突入です。今年冬は好天候が続いているので外廻りの工事が工程通り進められて本当にありがたいです。そこで今回は、土間の豆砂利洗い出し仕上げについてリポートいたします。
“豆砂利”と“豆粒のような砂利”という意味で、もちろん本当の豆ではありません。この“豆”の色や種類も様々あるのですが、ここではこれ、フリージア3分(ぶ)に決定しました。3分とは粒の大きさのことで、おおよそ9ミリの大きさです。
まずはミキサーを回しながら豆砂利を投入します。
そしてすぐにセメントも投入します。しばらく撹拌すると本当に美味しそうな豆粒に見えてきます。
美味しそうな豆粒に見えてきたら水を加え、更に撹拌を続けます。
そして適度な柔らかさになるまで少量の水をコマ目に加えながら更に撹拌を続け、ようやくネタが出来上がります。
出来上がったネタは前日までに準備しておいたコンクリート下地の上に、更にモルタルで薄塗りをした上に塗り込んでいきます。定規で平滑にしながら金鏝(コテ)で押さえていきます。
外部の土間仕上げは、その日の天候や気温によって仕上がりの良し悪しに大きな影響を与えます。この日は晴天で乾燥した日だったので、福井左官さんの仲間が助っ人としてお手伝いに来てくれて手際よく作業を進めてくれました。
お施主様の奥様も見守る中、作業は順調に進んで行きました。
こうしてスロープの土間全面に豆砂利のネタが綺麗に塗り込まれました。
豆砂利が沈んだ土間は海原のように輝いていますが、ここで少し時間をおいて水分を飛ばし乾燥させます。
その時間を利用して、奥様がスロープの端っこに貝殻を埋め込んでいます。これは何年か前にご家族で沖縄へ旅行に行った時に海で拾ってきた思い出の品だそうです。さて、綺麗に仕上がるでしょうか。
暫く乾燥させても表面の水分が不均等なところがあるので、新聞紙を敷いて余分な水分を吸い取っていきます。
適度に乾燥してきたら更に金鏝で押さえ、仕上げ面が最も平滑になるように徐々に力を加えていきます。
そしていよいよ洗い出し作業です。厚手のスポンジに大量の水を含ませ、優しく表面を撫でるように洗い出していきます。すると美しい豆砂利が浮き出てきます。ここでは決して洗い過ぎず、且つ万遍なく表面を洗っていかなくてはなりません。
ネタを塗り込む時の力の入った作業とは反対に、ソフトなタッチで均等に洗っていくこの作業は、まさに仕上がりの良し悪しを左右する大事なポイントなのです。でもまだ仕上がりではありません。
最後の仕上げは、少し硬く絞ったスポンジで更に表面を洗い、豆砂利が最高の見え方になるまで何度も何度も洗っていきます。もちろん最後の仕上げは福井さんの腕で!
綺麗に仕上がりました。これが豆砂利の洗い出し仕上げです。中島工務店では玄関の土間やアプローチにこの豆砂利洗い出し仕上げを多く採用しています。まさに職人技を見せつける仕上げです。
さて、貝殻はうまく洗い出されたかな・・・?うん、まずまずと言ったとこでしょう。
ここまで外部の仕上げも順調に進められてきました。この勢いで外構工事にも突入です。来週は確認検査機関の完了検査も予定しています。検査済証が交付されると、あとは秒読み段階になっていきます。さぁフンドシを締め直してラストスパートです。
次回の現場リポートは何か、乞うご期待。
設計・監理 小林尚長